Q
医療過誤が疑われる場合、どのような情報を確認しておけばよいですか。
A
病院で診察を受ける前の状態、診察後の治療内容、医療事故発生後の病院の対応等、時系列に従って情報を記録しておいてください。メモ書きでもけっこうです。
(1)症状の内容 :受診するまでの症状や状態
(2)医療機関の情報:医療事故発生の病院名、担当医等、
(3)治療方針 :診断結果、治療方針に関する医師の説明
(4)治療内容 :手術・麻酔・検査・処置・投薬等の治療内容及び、治療内容に関する医師の説明(副作用・合併症に関する十分は説明はなされていたか)。
(5)被害状況 :死亡・後遺障害等の被害結果及び、被害結果に関する医師の説明。
(6)医療機関の対応:医療事故発生時、発生後の病院の対応
(7)他病院での治療:今回の病症に関連する過去の既往歴(手術の有無、治療内容等)
Q
医療過誤にはどのようなケースがありますか?
A
医療過誤は、大きく分類すると、(1)作為型(手術ミスや誤薬の投与など)と、(2)不作為型(適切な処置を怠ったなど)に分けられます。
(1)の作為型については、事実関係さえ明らかにされれば、治療行為に落ち度があったか(過失の有無)判断することができます。他方で、(2)不作為型は、一定の医療水準に基づく治療が行われて入れば(過失の有無)、不幸な結果が起きなかったこと(因果関係)を立証していかなければならないため、過失の有無や因果関係の立証が非常に困難な事案と言えます。
また、作為型も不作為型も、問診・検査の段階(適切な問診や検査を怠った)、治療や手術の段階(治療や手術を行ったが適切ではなかった)、投薬の段階(誤った薬や麻酔の投与)、説明義務を怠った、術後の看護が適切ではなかった等、あらゆる場面で起こり得るため、その原因を追究することが非常に困難な事案と言えます。
Q
いつ弁護士に相談したらよいでしょうか?
A
医療事故の疑いがあると感じたら、すぐに専門家である弁護士にご相談ください。
弁護士は、相談を受け医療事故が疑われる場合、
(1)調査(証拠保全による診療記録の入手等)を行い、
(2)調査結果に基づき病院側と交渉し、
(3)必要な場合は法的手続(ADR申立・調停申立・訴訟提起)
を行います。
医療事故を解決するためには専門的知識が必要なため、個人で病院側と対等に交渉することは実際困難です。また、個人でカルテ等の自己開示請求を行った場合、カルテ等が改ざん・棄損される可能性があります。
これに対して、証拠保全手続等により、カルテや看護記録等の診療記録を改ざんされることなく事前に確保することができれば、後の交渉や、訴訟において有利に進められる可能性が高くなります。
Q
弁護士に相談する前にやってはいけないことはありますか?
A
弁護士は、依頼者から相談を受けた際、その内容が医療事故に当たるか、当たるとして、どの場面(問診・検査・治療・説明・手術・投薬・術後看護など)に医療過誤があるか、あらゆる角度から判断することになります。
ですので、弁護士に相談する前に、自ら医療過誤の原因を決めつけたり、不要だと思って診療記録の一部を処分したりせずに、関連する全ての資料をご持参の上ご相談ください。
Q
法律相談の際、持参した方がよい書類はありますか?
A
もし、お手元にあれば、
(1)診断書、
(2)入院診察計画書、
(3)入院・手術証明書、
(4)手術・麻酔・検査・処置に関する説明書、
(5)薬の説明書、
(6)死亡診断書、
その他関連すると思われるものは全てご持参ください。
Q
法律相談だけで、過失の有無は分かりますか?
A
法律相談だけでは、過失の有無までは判断できません。
明らかに治療方法にミスがあった場合(作為型)や、何の処置もせずに放置した場合(完全不作為型)であれば、ある程度予測することも可能かもしれません。
しかし、医療過誤が疑われる多くの場合は、治療行為が行われたが、それが適切ではなかった可能性があるというケースですので(一部不作為型)、過失の有無を判断するには、医療事故原因の調査が必要になります。